尼崎市、園田駅徒歩2分の歯医者|アキ歯科クリニック

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コラム

『生きることは食べること』

family eating

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みなさん、こんにちは!
みなさんは、在宅医療というものをご存知ですか?
先日私は、prime videoで『痛くない死に方』という映画を観ました。(主演:柄本佑さん)
在宅医療に携わる若い医師のお話で、在宅医療とは何か、どんな覚悟が必要か、医療側、患者側双方から改めて教えられた映画でした。
(訪問歯科が出てこないのが残念でしたが、そこもまたリアル…)

ということで、今回は在宅医療、訪問歯科について、みなさんに知っていただこうと思います。
啓蒙活動、大切。

在宅医療ってなんだろう

患者さんが生活する場所に、医師や看護師等が出向いて、診療や処置を行うことを言います。
訪問診療と呼ばれていますね。
※往診という言葉もよく聞きますが、往診は突発的な症状に対して診療を行う臨時のものです。
訪問診療は計画に基づいて継続して行われるものです。
往診と言われると、違う!と反論する方もいるほどです。

どんな人が来てくれるの?

具体的にどんな人たちが来てくれるんでしょう。
医師や看護師、ヘルパーさん、訪問入浴サービスの方、訪問リハビリ、訪問薬剤師、訪問栄養士、そして訪問歯科などがあります。

どんな人が対象?

基本的にお一人での通院が困難な病状の方です。
高齢でなければならないなんてこともなくて、介護保険がなくても在宅医療の対象になります。

何をしてくれるの?

どんなことをしてもらえるのでしょう。
在宅医療は、通院とほぼ同等の医療を在宅で受けることが可能で、患者さんご家族の協力を得て、在宅管理を行いながら、いろんな職種が連携をとって医療、介護を組み合わせていく。患者さんやご家族に合わせた、オーダーメイド医療とも言えます。
このオーダーメイド医療に中々訪問歯科がチョイスしていただけないのが、悲しいです。。

誰が考えてくれるの?

さて、在宅医療は誰が考えてくれるのでしょう。
患者さんにどんなことが必要なのか、一緒に考えてくれるのは、ケアマネージャーさんです。
在宅医療やその他いろいろ利用できるものを教えてくれます。
まずは、お住まい地域の包括支援センターに相談するのがお勧めです。
ここでも訪問歯科が中々あがらないんですよね。。
啓蒙活動不足を痛感しています。

訪問歯科ってなにするの?

訪問歯科では、主に口腔ケア、入れ歯の治療を多く行います。外来と違うアプローチで。

『痛くない死に方』の一幕で、患者さんの生い立ち、性格などを共有する場面がありました。
主人公は『そこまでする必要があるんですか?』と先輩医師に聞きます。
そこで先輩医師は『病気をみるんじゃない、その人の物語をみるんだ』と言いました。
まさにその通りで、私たちは患者さんの病気だけでなく、人生に立ち会っていくので、その方の生い立ちや好きなこと、嫌いなことまで目を向けます。
人を好きになることが在宅医療で重要なことだと、私は思います。

そんな思いで訪問歯科に携わっていますが、中々訪問歯科を呼んでいただく機会もなく。
特に私が必要だと思っている人生のポイントは、退院の時。
退院時は、ご本人、ご家族、主治医、ソーシャルワーカー、ケアマネージャーなどが退院時に会議を行なって、今後在宅でどうしていくか、決めていきます。
入退院を繰り返したりしていると、お口の中の環境が変わっていたり、入れ歯を紛失していたりすることもあるのですが、やはり全身管理がまず第一なので、歯科は出てこないんですね。

口腔内を管理することも、QOLを上げたり、フレイルを予防したり、とても大切なことなのに、患者さんの人生のポイントに歯科はいないことが多くて。
全国のケアマネージャーさん、主治医の先生、訪問歯科も是非活用してください。お願いします。

生きることは食べること

訪問歯科が介入することで、

  1. ①口腔衛生度があがり、誤嚥性肺炎の予防に繋がる
  2. ②治療を行うことで、咀嚼力の維持が出来る
  3. ③口腔ケア、摂食嚥下訓練を行うことで、話す、食べるといった、人が生きるために必要な機能を維持する

上記のような未来も見えてきます。
(必ずしも改善するとは言えませんが…)

QOLの向上では、実際に調査が行われており、咀嚼、介護、口腔衛生が訪問歯科によって改善されたという結果も出ています。

在宅医療では、患者さんだけでなく、ご家族にとっての最善策を考え、取り組んでいます。
例えば、入れ歯が合わなくて痛かった場合。
入れ歯の治療をすることで、患者さんは咀嚼が楽になり、ご家族は患者さんのためだけに柔らかく刻んでいたお食事を一口大にするなど、お食事を作ることが楽になります。
また口腔ケアをすることで、口腔衛生が保たれ、誤嚥性肺炎など、様々な疾患を予防することに繋がります。
(このことについては、また次回詳しくお話します。)

『生きることは食べること』

好きなもの、食べたいですよね。
好きなものを食べると笑顔になります。
元気になれます。
この言葉を、もっと他職種の方やご家族に知っていただき、訪問歯科をもっと身近に感じていただけたらと思います。

それと、これは個人的な意見で歯科医師、歯科衛生士に向けてですが、歯科医師、歯科衛生士が自分たちが治療してきたものが、どんな予後を辿るのか、これもみてほしいと思っています。
自分たちが作った入れ歯を患者さんが使いこなせているのか、不自由していないか、これはずーっとみていないとわかりません。
だから率先して訪問歯科診療をして欲しいです。

いまかかりつけの歯科医院の先生が訪問もしている、という歯医者さんが一生お付き合い出来る歯医者さんではないかなと私は考えます。
いい歯医者さんに出会えますように。