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歯が黒くなった??
- 2022年7月27日
- コラム
アキ歯科クリニックの衛生士です。
今日は私が受けた一つの相談話を話そうと思います。
最近お友達(Aさん)に、『歯が黒くなった、どうしよう』と相談を受けました。
いまはマスクをしてるから平気だが、このまま黒くなったら、困るとのことでした。
Aさんは若い時に前歯にボールがぶつかり、歯が折れてしまいました。
その時の治療で保険の差し歯を入れて、もう何十年も経つとのことでした。
(差し歯とは、根っこは自分のものですが、神経の代わりに金属やファイバーコアといった土台を立て、型をとった歯の形をした被せ物のことです。)
私『それは歯が黒いの?それとも歯ぐき?』
Aさん「どっちも。歯も前は白かったのになんか色変わったし、歯ぐきも黒くなったのよ』
ふむふむ。私はこの時すぐに原因が分かりましたが、
さて、みなさんは何が原因でどっちも黒くなったと思いますか?
まずは差し歯の構造は、
【金属の土台】、【内側が金属】、【歯の白い部分がプラスチック】で出来ています。


年数が経ってしまったときの見た目は、こんな感じです。
審美を補うために差し歯を入れたのに、長年使っていくうちに、今度は審美的に気になってしまうようになってしまいました。
何が原因で変色してしまったのでしょうか。
歯が黒くなった
実際には色が変わったということでしたが、プラスチックが長年の使用により、
変色してしまっていました。
プラスチックは色素を吸収しやすい素材のため、徐々にですが変色しやすい素材となっています。
歯科材料ではレジンと言う名前で、小さな虫歯で白い詰め物をする時や、入れ歯の歯の部分などに使われる材料です。
もしお口の中に治療の跡があるのなら、鏡で見てみると色が違って見えるかもしれません。
もうひとつ、そんなまさかと思うかもしれませんが、歯ぐきに合わせて作った被せ物も、
歯周病に罹患してしまうと歯ぐきが下がってしまうため、金属が見えて、歯が黒く見えることもあります。歯周病でなくても、年数が経てば歯ぐきは少しずつやせていくので、同じような状態になります。
歯ぐきが黒くなった
被せ物や土台の金属の成分が唾液によって溶け出し、歯ぐきに定着することで、黒ずんでしまいます。メタルタトゥーと呼ばれています。
原因は金属と経年劣化、そして歯周病が主です。
ではここから【治療法】をお話しましょう。
①金属の土台、被せ物の材料を変える


メタルコアと呼ばれる金属の芯棒をファイバーコアコアと呼ばれる素材に変える。プラスして、被せ物の内面も金属のものから、全て白いものに変える。
②レーザー治療
歯ぐきの色素沈着してしまったところを歯科用レーザーで色素を除去します。ガムピーリングと呼ばれる治療法です。
レーザーを照射することで、歯ぐきは一旦白く変化しますが、3日ほど経過し、落ち着いてきたら、歯ぐきはピンクに戻っていきます。
ということで、私はAさんにまず金属の土台、被せ物をやりかえることをお勧めしました。
するとAさんは『治療した歯のせいでなったん、これ。永久に使えないの?』と言いました。
そうです、実は全ての被せ物には永久という保証はなく、今回のように被せ物の性質から、二次的な主訴を生み出すことも珍しくありません。
でもそれを知っている患者さまは多くありません。
どちらかと言うと、永久に使えると思ってる方の方が多いかもしれません。
もちろん永久に使われる方もいらっしゃいますが、それでも経年劣化は起こっています。
Aさんはとても驚かれていましたが、いまは金属をやめて白い歯になり、スッキリした笑顔で話せるようになりました。
いまは歯科もメタルフリーにほぼ移ってきていますが、まだまだお口の中に金属が入っている方も多いと思います。
以前に比べ、現在は保険適用で奥歯も白くすることも可能になり、治療の幅も増えました。
自費の被せ物についても、種類が増えて、コストやお口の中に合わせた材料をご提案出来る様になりました。
私も以前は自費の被せ物や詰め物に手が出ませんでしたが、いまは自費の中でも様々な材料で選択肢があり、諦めていた治療をすることも出来ました。
もちろん保険に比べたら高いですが、寿命や今回の審美面や歯磨きのしやすさなど考慮しても選ぶ価値はあると思います。
みなさんも今一度、お口の中をよーく観察していただいて、
長年使っている被せ物や詰め物があれば、
先生に相談してみてはいかがでしょう。
当院では、しっかり患者さまに説明をした上で、治療を選択して頂けます。
その時、その方にベストな治療法をご提案出来るよう、日々スタッフも勉強を重ねておりますので、安心してご来院ください。
次回はAさんが驚いた、治療後の詰め物、被せ物の寿命についてお話をしようと思います。