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前回、義歯(入れ歯)でのお食事のとり方は工夫がいるというお話をしました！
今回は、義歯のお話の続き、お食事編です。
まずは天然歯と義歯の違いをみてみましょう。

天然歯

歯冠と歯根の２部構造で、歯根が骨に埋まっており、ご存じの通り、噛んだり衝撃が来ても、健康な歯であれば、びくともしません。
噛む力は、その人の体重ほどと言われており、男性は60kg、女性は40kg程度です。

義歯

何らかの理由で歯を喪失してしまった場合、このように歯冠（歯の噛む部分）のみを補うような義歯が入ります。

骨に埋まっていないので、噛んだり衝撃が加わると、グラついたり、安定感がありません。
噛む力は、天然歯の20〜30%に落ちますが、工夫次第で、好きな食べ物を食べることが可能です。

義歯の方が苦手な食べ物

• 硬い、弾力がある ➡ かみきれない
  →たこ、かまぼこ、パンのみみ
• 薄い、繊維質 ➡ かみきれない
  →海苔、葉物
• つぶつぶ ➡ 義歯に挟まる
  →ごま、いちご
• 粘着性 ➡ 外れやすい
  →お餅、キャラメル
• 麺類 ➡ 前歯では噛みちぎりにくい
  →ラーメンなど
• 熱いもの ➡ 義歯の素材が熱を通しにくい
  →熱いスープ

苦手な食べ物を書きましたが、さらに噛み方にもコツが必要です。
ある患者さんに、ウインナーを食べたら義歯が外れたと言われました。ウインナーはそこまで硬くないし、食べられるのになと思っていたら、こうやって食べたら外れると、教えてくれました。



なんで外れるか、みなさんわかりますか？
その方は上下総義歯でした。
正解は、【前歯で噛みちぎったから】
上の総義歯は、吸盤のような仕組みで上あごについているので、前歯で噛むことによって、後ろから空気が入り、外れてしまうのです。

てこの原理と同じですね。
義歯で噛むコツは両奥歯でしっかり噛むこと。
片側で噛んでも、外れやすいことはみなさんおわかりになるかと思います。
さて少し脱線してしまいましたが、義歯で快適に食べるときの工夫を解説していきましょう！

工夫①一口大にする

細かすぎてしまうと、噛みにくく、義歯の隙間に挟まりやすいので、だいたい一口大で調理すると良いです。
そして頬張りすぎないのもポイント。
歯やあごにかかる負担を軽くしましょう。

工夫②やわらかめのものから食べる

卵焼き・焼き魚・蒸した野菜

工夫③隠し包丁、切れ込みを入れる

かまぼこは苦手な食材ですが、切れ込みを入れておくことで、簡単に噛み切れるようになります。
イカも隠し包丁をいれて食べると食べやすさが増します。

工夫④慣れたら徐々に硬いものも食べる

義歯になったらやわらかいものだけしか食べない、軟らかいものばかり食べることを習慣にしてしまうと、噛む筋力が落ちてしまいます。
よく噛むことで、唾液も出ます。
義歯は乾燥したお口だと傷を作りやすいので、痛みや不具合があるのに、チャレンジすることはお勧めしませんが、義歯に慣れたら、ぜひ硬めのものも食べてみてください。
うまく唾液と食材を混ぜるために、あんかけなどのとろみや、オリーブオイルやごま油を使ったお食事にしてもよいですね。

工夫⑤無理せず調整をする！

噛み合わせなどの調整は歯医者さんでしてもらいましょう。
新しい義歯だけではなく、長年使っていた義歯も使っていくうちにすり減って、噛み合わせが変わってしまうことや、すべって噛めなくなることもあります。そのまま使い続けていくと顎の不調や顎関節症を引き起こしてしまうこともあります。調子よく使えていても、定期的に歯医者さんでチェックしてもらいましょう！
人それぞれ噛み方に癖がありますので、調整方法やアドバイスも十人十色。
お一人で悩まず、また悩んでいる方がいれば歯科受診をお勧めしてください。

義歯でも楽しくお食事ができますように、お食事の時間が、楽しい時間になることを祈っています。