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コラム
歯科衛生士という専門職と、当院が“完全担当制にこだわらない理由”
- 2025年12月9日
- コラム
歯科医院に通うと、診療室の多くの場面で歯科衛生士と接する機会があります。
しかし、その仕事内容や役割がどれほど専門的で重要なものかは、まだ十分に知られていないように感じます。
今回は、「歯科衛生士とはどのような専門職なのか」、そして「当院が完全担当制を採用せず、柔軟な体制を整えている理由」について詳しくお伝えしていきます。
歯科衛生士は“あなたの口の健康を守るスペシャリスト”
歯科衛生士は国家資格を持ち、むし歯や歯周病の予防、口腔内の健康維持、患者さんの生活習慣へのアドバイスを中心に行う専門職です。治療行為そのものを担当する歯科医師と異なり、「病気にしない」「悪化させない」という予防の領域を担っています。
歯科衛生士の主な業務は次のように多岐にわたります。
歯周病の治療と管理
歯周ポケットの計測、歯石の除去、炎症の改善など、歯周病治療の基盤となるケアを行います。炎症の程度や進行状況を把握し、必要に応じて医師に報告しながら治療を進めます。
メンテナンス(定期検診)
むし歯や歯周病を再発させないための点検とクリーニングを担当します。リスクの高い部位の把握や、前回との変化の記録も重要な役割です。
歯みがき指導(TBI)
患者さんの歯並びや生活習慣に合わせ、磨き残しを減らすための方法を丁寧にお伝えします。同じ患者さんでも年齢や生活が変われば指導内容も変わります。
生活指導・食生活のアドバイス
むし歯や歯周病の原因となる“日常のクセ”を見つけ、改善するサポートをします。食事内容、間食のリズム、歯ぎしり、喫煙などのアプローチは衛生士ならではです。
こどもの発育・食育
噛む習慣の育成、口呼吸の予防、食材の選び方など、成長を支える視点でも関わります。機能発達に関わるアドバイスも近年とても重要になっています。
口腔周囲筋のトレーニング
現代では口腔周囲筋と言って口まわりの口唇、頬、舌などの筋肉が上手く使えていない人、衰えている人が年代を問わず多くいます。
歯科衛生士はその筋肉を鍛えるトレーニングを指導もしています。
このように、歯科衛生士は治療の“補助”ではなく、患者さんの将来の健康状態を左右する 予防医療のキーパーソン なのです。
完全担当制の利点と、必ずしも完璧ではない理由
歯科衛生士が患者さんを“専属”のように担当する「完全担当制」は、多くの医院で取り入れられるようになりました。患者さんの安心感や関係性の構築に優れた仕組みで、メリットも多数あります。
しかし、完全担当制にも見逃せないデメリットが存在します。
【完全担当制のメリット】
- 毎回同じ人が担当する安心感がある
治療やクリーニングがスムーズで、患者さんの緊張も和らぎやすいです。
- 細かな変化に気づきやすい
長く観察しているからこそ、僅かな違和感を見つけられることがあります。
- 患者さんの状況を深く理解できる
生活のクセや口の状態を把握しやすく、より個別性の高いケアが可能になります。
【完全担当制のデメリット】
- 一人の視点に偏るリスクがある
同じ目で見続けることで、どうしても「慣れ」が生まれ、見落としが起きる可能性があります。
- 衛生士の得意不得意がそのまま結果に反映される
技術・経験の差、評価の癖などがダイレクトに影響します。
- 急な休み・退職があると継続性が損なわれる
担当が変わるたび患者さんが不安を感じることも少なくありません。
当院が“完全担当制にこだわらない”理由——多視点のメリットを活かす
当院では、基本的には同じ衛生士が担当するよう努めています。しかし、「担当者を絶対に固定する」という体制にはしていません。
その理由は、患者さんにとってプラスになる点が多いからです。
① 複数の視点があることで見落としが減る
歯周病の検査ひとつとっても、人によって微妙に見方や感覚が違います。
ある衛生士が見過ごしたリスクを、別の衛生士が正確に捉えることは珍しくありません。
この“視点の多さ”は、患者さんの健康を守るうえで非常に大きな強みになります。
② チーム体制で一定の質を維持できる
一人に依存せず、「複数の衛生士で患者さんを支える」ことで、技術レベルや方針にばらつきが出にくくなります。患者さんのカルテ情報を共有し、誰が担当しても一定の品質が確保されるようにしています。
③ 衛生士自身の成長につながる
同じ患者さんを数名の衛生士が診ることで、
「自分には見えていなかった点」
「苦手だった処置」
に気づける機会が生まれます。
結果として、スタッフ全員のスキルアップが図られ、患者さんの利益につながります。
④ 患者さんに“新しい気づき”が生まれる
歯みがき指導においても、違う衛生士だからこそ伝えられる視点があります。
同じことを別の表現で言われることで腑に落ちる方も多く、「担当が時々変わることで理解が深まった」という声もいただきます。
⑤ スタッフの欠勤時も診療が滞らない
完全担当制だと、「担当者がいないから今日はできない」という状況が起こりやすくなります。しかし、柔軟な担当体制だと治療計画が崩れず、患者さんに不便をかけることが少なくなります。
もちろん「完全担当制を希望する方」は遠慮なくご相談ください
当院は完全担当制を“否定”しているのではありません。
患者さんの価値観や不安の有無を尊重するために、ご希望があれば完全担当制での対応も可能です。
・ずっと同じ人に診てもらいたい
・人が変わるのはどうしても不安
・深いコミュニケーションを積み上げたい
このような想いを持つ方は、遠慮なくスタッフにお伝えください。
当院では患者さんの感じ方を最優先にしています。
最後に——当院が大切にしていること
私たちが目指しているのは、「患者さんの現在と未来の健康を守ること」です。
そのためには、スタッフ個々の力量だけでなく、チームとしての連携や多角的な視点が欠かせません。
完全担当制には大きなメリットがありますが、当院では
“多くの目で診ることによって質を高める”
という考え方を大切にしています。
もちろん患者さんの安心感は最も重要な要素です。
そのため、
ご希望があれば完全担当制にも対応できる柔軟なシステム
を導入しています。
これからも、患者さん一人ひとりが安心して長く通える医院であるよう、スタッフ一同努力を続けてまいります。どんな小さなことでも、どうぞお気軽にご相談ください。
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