Column
コラム
「噛める」ことの先にある、人生の質の話 ―歯科医療の現場から、いま伝えたいこと―
- 2026年2月20日
- コラム
前回のコラムでも書きましたが、最近、歯科治療で使われる金属の価格が高騰し、保険診療では赤字になってしまう歯科医院が増えている、というニュースが報じられました。
その中で「赤字になるから自費治療を勧めていると思われるのがつらい」という歯科医師の声が紹介され、少なからず反響を呼びました。
このニュースをご覧になり、
「歯医者さんって、やっぱり自費を勧めたいんでしょ?」
そう感じた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、歯科医療の現場に立つ者として、どうしてもお伝えしたいことがあります。
当院が自費治療を勧める理由は、赤字だからでも、儲けたいからでもありません。
もっと根本的な、「人生の質」に関わる理由があるのです。
私たちの医院理念
『あなたの豊かで幸せな人生を歩むお手伝いができる医院』
歯科医院は、歯を削って詰める場所、痛みを取る場所。
多くの方が、そう思っておられるかもしれません。
しかし、私たちが大切にしているのは、「歯」そのものではなく、「歯を通じた人生」です。
きちんと噛めること。
美味しく食事ができること。
人前で自然に笑えること。
そして、それが年齢を重ねても続いていくこと。
それらすべてが、その方の「豊かで幸せな人生」に直結していると、私たちは考えています。
歯のみを見て治療に当たっている訳ではなく、歯、歯並び、噛み合わせ、口唇や頬・舌との調和、周囲の筋肉との調和、全身との調和、口腔内の細菌が全身に与える影響・・・など、様々なことを考えているのです。
咬合(かみ合わせ)は、体全体の土台です
当院が特に重視しているのが「咬合」、つまりかみ合わせです。
かみ合わせは、
- 食事
- 発音
- 顔貌
- 顎関節
- 姿勢
こうしたものすべてに影響します。
一見、歯が一本なくなっただけに思えても、そのまま放置することで、周囲の歯が傾いたり、噛み合わせがずれたりし、やがて口全体のバランスが崩壊していくことがあります。
「1本くらい抜けても噛めているから大丈夫」
この考えが、数年後・十数年後に大きな差を生むことは、残念ながら少なくありません。
歯を失ったままにしないという選択
歯を失ったとき、必要になるのが欠損補綴(けっそんほてつ)です。
代表的なものが、
- 義歯(入れ歯)
- インプラント
です。
これらは単に「穴を埋める」ための治療ではありません。
崩れかけた咬合を守り、将来を支える治療です。
歯が抜けたままの状態を放置すると、
- 噛み合わせが乱れる
- 残っている歯に過剰な負担がかかる
- さらに歯を失う連鎖が起こる
という悪循環に陥りやすくなります。
なぜ、義歯やインプラントは「自費が良い」と考えるのか
ここで、「なぜ自費なのか」という疑問が出てくると思います。
保険診療にも、義歯や被せ物はあります。
しかし保険は、「最低限の機能を、全国一律で提供する制度」であり、
- 材料
- 設計
- 精度
- 長期的な安定性
には、どうしても制限があります。
一方、自費診療では、
- 咬合を細かく設計できる
- 長期使用を前提とした材料を選べる
- 見た目と機能の両立が可能
- 再治療のリスクを下げられる
といった、将来を見据えた治療が可能になります。
これは「贅沢」ではありません。
人生を長い目で考えたときの選択肢なのです。
歯を失う原因の多くは「歯周病」です
そして、忘れてはならないのが、歯を失う最大の原因の一つが歯周病であるという事実です。
歯周病は、
- 痛みが少ない(静かに進行する)
- 気づいたときには進行している
という特徴があります。
だからこそ、早期発見・早期治療・継続管理が何より重要です。
当院では、「歯を失ってから考える」のではなく、「歯を失わないために動く」という視点を大切にしています。
金属高騰のニュースが本当に問いかけているもの
今回のニュースは、確かに歯科医院の経営の厳しさを伝えていました。
しかし本質は、保険制度だけではカバーしきれない歯科医療の現実が浮き彫りになった、という点にあると思います。
自費治療を勧めることは、赤字を補うためではありません。
その方の人生を、より良い方向へ導くための提案です。
知ったうえで、選べる歯科医療を
私たちは、無理に自費治療を勧めたいわけではありません。
ただ、
- 咬合の大切さ
- 歯を失うことの影響
- 選択肢の違い
を知ったうえで、ご自身の価値観で選んでほしいと願っています。
歯科医療は、「今をしのぐ医療」でもあり、「未来を守る医療」でもあります。
私たちはこれからも、あなたの豊かで幸せな人生を歩むお手伝いができる医院であり続けたいと思っています。
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