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自費診療=お金儲け? そんな誤解を乗り越えて、誠実な歯科医療を届けたい

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「歯科医院で自費の治療を勧められた。高い治療を勧められると、何となく営業のように感じてしまう…」
そう感じたことのある方は、少なくないのかもしれません。

確かに、自費診療は保険診療に比べて治療費がかかります。そのため、「本当に必要なの?」「経済的に余裕がある人のためのものでは?」という不安や疑問が生まれるのは、ごく自然なことです。

ですが私たち歯科医師の立場からすれば、自費診療は“高額な治療を売る手段”ではなく、“質の高い治療を選択できる大切な方法”だと考えています。そこには「目の前の患者さんのために、最も良いと考える治療を提供したい」という、まっすぐな気持ちがあります。

保険診療と自費診療の違いは、治療の「幅」にある

日本の保険制度は、誰もが公平に基本的な医療を受けられる素晴らしい仕組みです。歯科医療においても、虫歯治療、義歯、詰め物など、必要最低限の機能を回復させる治療がカバーされています。

しかし、保険で認められている治療法や材料は、どうしても限られています。

例えば、詰め物や被せ物においては、使える材料の種類や形に制約があり、見た目や耐久性では妥協を強いられることもあります。また、治療にかけられる時間や診療ステップも、保険点数によってある程度決められています。

一方、自費診療では、こうした制限がありません。
使用できる材料や技術、診療にかけられる時間、そして一人ひとりの状況に合わせたカスタマイズが可能になります。

つまり、「より良く」「より長く」「より自然に」口腔の健康を維持するための選択肢が増えるのです。これが、私たちが自費診療をご提案する大きな理由です。

自費診療をすすめるのは、より丁寧に向き合うため

歯科医師が自費診療を提案する時、それは「これが最善の選択肢だと判断したから」です。
もちろん、患者さんにとって金銭的な負担が増えることは承知の上です。それでもなお提案するのは、目先の処置で終わるのではなく、「再治療のリスクが少なく」「機能性と美しさの両立ができ」「患者さんが心から納得できる結果」を求めた結果だからです。

例えば、セラミックを用いた補綴治療では、天然歯と見分けがつかないほどの美しさが実現できます。また、インプラント治療であれば、取り外しの必要がなく、まるで自分の歯のような噛み心地が取り戻せます。

それに、自費診療では十分なカウンセリングや精密検査に時間をかけることが可能です。歯科医師と患者さんが、じっくり対話を重ねながらゴールを共有し、納得したうえで治療を進めることができます。

この“向き合う時間”こそが、私たちが自費診療に込めている大切な価値のひとつです。実は患者さんに向き合っている時間以外に、診療時間後に患者さんから頂いた写真や模型やデータをしっかり分析・確認し時間をかけ、その方に最適な治療計画を立てているのです。

自費診療を受けるのは、お金に余裕がある人だけ?

「自費診療は裕福な人が選ぶもの」というイメージは、根強く存在します。しかし、実際には多くの方が、それぞれの価値観や人生観に基づいて自費診療を選んでいます。

たとえば、ある方は「旅行を1回減らしてでも、自分の歯の治療に投資したい」と話されました。
また別の方は、「子育てが落ち着いた今、ようやく自分の体を整える時期だと思った」と言って、自費での治療を決断されました。

自費診療を選ぶかどうかに、収入の多寡は関係ありません。
**「これからの生活の中で、何にお金と時間を使いたいか」**という、個人の選択なのです。

実際、分割払いや医療ローンを活用される方も少なくありませんし、全ての治療を一度に行うのではなく、計画的に段階を踏んで進めることもできます。

例えば、私が患者さんに自費診療を勧めたその時でなくても、その内容が心のどこかに響いていただき、そこから積立をして頂いたり、人生設計の中に計画的に歯の治療を組み込んでいただき数年後に治療を受けられる方もいらっしゃいます。

患者さんが自費診療に期待していること

では、患者さんはどんな思いで自費診療を選択されるのでしょうか?
その背景には、次のような希望が見られます。

  • 見た目の自然さと美しさを大切にしたい
    保険診療では使えない白い素材や、歯肉との調和を意識した設計など、美しさを追求した補綴物を希望される方は多くいらっしゃいます。
  • 長期間安心して使える治療を求めている
    「何度も同じところを治したくない」「しっかり噛めてストレスのない生活がしたい」──自費治療は耐久性や精度の面で信頼性が高く、再治療のリスクが減ることが期待されます。
  • 時間をかけてしっかり説明してもらいたい
    保険診療ではどうしても一人にかけられる時間に制限がありますが、自費診療では治療計画やリスク、選択肢などについて納得いくまで相談できます。

つまり、“高級だから”ではなく、“納得して自分に合った治療を受けたい”という思いから選ばれているのです。

歯科医師の責任としての「自費提案」

私たち歯科医師にとって、自費診療を提案することは「営業活動」ではありません。
それはむしろ、「この方の将来にとって最良の選択肢は何だろう?」という問いに真剣に向き合った結果なのです。

もちろん、選ぶのは患者さんご自身です。私たちは押し付けるつもりはありません。あくまでも「提案」です。
保険だけでは解決できない問題があること、それに対して別の選択肢が存在することを、正直に伝えるのがプロフェッショナルとしての責務だと考えています。

患者さんの生活背景、人生観、価値観を尊重しながら、一緒に最適な治療方法を探す──それが本来あるべき医療の姿です。

最後に:自分の健康に「納得の選択」を

私たちは誰もが、自分自身の身体と一生つき合っていきます。
歯や口の健康は、単に“食べるための道具”ではなく、笑顔、人との会話、日常の快適さに直結する、大切なものです。

自費診療は、その口腔の健康を“より良く、より自然に、より長く”保つための選択肢です。
歯科医師が真剣な表情で自費治療を提案するのは、あなたに「もっと健康でいてほしい」「もっと笑っていてほしい」と本気で願っているからです。

「お金儲けでは?」という先入観の奥に、歯科医師としての覚悟と誠実な思いがあること。
ぜひ、そのことを心に留めていただけたら嬉しく思います。