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コラム
なぜ私は「高額」でも自費診療を勧めるのか?
- 2025年6月13日
- コラム
― あなたの歯の未来に、真剣に向き合うために ―
こんにちは、歯科医師の木本です。
私は日々、さまざまな患者さんと向き合いながら、その方にとって「本当に意味のある治療」を一緒に考え、提供することを信条としています。そうした中で、どうしても避けて通れないのが「自費診療」という選択肢です。
正直に申し上げると、保険診療よりも金額が大きくなる自費治療を提案することに、最初は躊躇がありました。なぜなら、費用面でのご負担は、患者さんにとって大きな決断を迫るものであるからです。
それでも私は、あえて「高額」になる可能性のある自費診療を提案する理由があります。今日はその理由を、あなたに正直にお話ししたいと思います。
1.「見た目」と「噛み合わせ」の両方を守れる治療が必要だから
多くの方が、保険の範囲内で白い歯を希望されます。白ければ十分、美しければ満足——そう考えるのも、自然なことです。
しかし、私たちが診ているのは単なる「色」ではありません。その歯が、どのような形で、どのように噛み合い、口全体のバランスを保っているか。これが非常に重要です。
前歯であっても、噛み合わせに影響を及ぼす形に仕上がっていなければ、たとえ美しく見えても、やがて歯列全体のバランスを崩すことになります。噛み合わせの乱れは、顎関節症や肩こり、頭痛、さらには歯周病の進行にもつながります。
自費治療であれば、単に見た目を整えるだけでなく、咬合(こうごう:噛み合わせ)を正確に分析し、その人に合った最適な歯の形と位置を再現することができます。これこそが「長持ちする治療」なのです。
2.「保険で白くする」に潜む、落とし穴
保険診療で白い歯が使えるようになったことは、多くの人にとって朗報でしょう。ですが、その実態を知ると少し考えたくなるはずです。
保険で使える白い歯(CAD/CAM冠など)は、素材が限定され、製作工程も効率重視です。技工士が精密に噛み合わせを確認することはほとんどなく、すべてが機械で設計・加工されます。もちろん全てが悪いわけではありませんが、そこには「オーダーメイドの調整」は存在しません。
つまり、それは「誰にでも合うように作られた平均的な歯」。本当にあなたの咬合や笑顔にフィットするのか?という点では、疑問が残るのです。
また、素材についてもセラミックは入っていますが、純粋なセラミックに比べると劣化するのも早く着色しやすいだけでなく表面のザラつきが出てきて、丁寧に歯磨きをしても磨き残しをしやすくなり、むし歯や歯周病の原因にもなります。
3.自費治療の「価格の違い」は、技術と連携の差
自費治療の価格が歯科医院ごとに異なることに、疑問を持たれる方も多いと思います。「この医院では1本8万円なのに、あちらは15万円以上」といった差が生まれる理由。それは、技術力とチームの構成がまったく異なるからです。
自費治療では、歯科医師の設計力だけでなく、歯科技工士との連携が極めて重要です。トップクラスの技工士は、まるで芸術作品のような歯を再現できます。色調、質感、透明感、隣接歯との調和まで、すべて手作業で仕上げます。
こうした技工士との連携を可能にするには、事前の診査診断やワックスアップ(模型上での治療プランの再現)、咬合器を使った顎の運動解析など、多くの工程が必要になります。
価格の違いは、こうした「見えない工程」と「人の手間」によって生まれています。
患者さんの診療の場だけでなく、実は見えない所、裏の部分での診査・診断や技工士さんとの連絡・連携に時間をかけて精密な良いものを協力して作っているのです。
4. 模型診断が、未来の「後悔」を防ぐ
多くの医院では、口腔内スキャナーやレントゲンで得たデータを元に、すぐに補綴物の設計に入ります。しかし私は、事前に「ワックスアップ」と呼ばれる模型診断を必ず行います。
これは、石膏模型の上に理想の歯の形を仮想的に再現し、噛み合わせや見た目、顎の運動時の干渉をあらかじめ確認する作業です。
これによって、仕上がりを事前に確認でき、患者さんと共通認識を持った上で治療に進むことができます。
「ここまでしてくれる歯科医院は初めてだ」と驚かれる方もいます。しかし、私はこの工程を省くことはできません。それほど大切なプロセスなのです。
5.「良い歯科治療」とは、見た目と機能の両立である
治療が終わった瞬間がゴールではありません。むしろ、そこからがスタートです。
10年後、20年後もその歯が美しく、そして機能的に使えているかどうか。これを左右するのが、自費治療で得られる精密性です。
歯は単なる部品ではありません。咀嚼、発音、表情、さらには全身の健康にもつながる器官です。私は、あなたの歯を「一生もの」として考えています。
だからこそ、たとえ高額であっても、その価値を持つ治療を自信をもってお勧めしたいのです。
6.「高いからこそ、責任を持てる」
私は自費診療を提案する際、「これは高額です」とはっきり申し上げます。誤魔化すことなく、正直に伝えることが信頼関係の第一歩だと信じているからです。
そのうえで、なぜその金額が必要なのか、何に対して費用が発生しているのか、そして将来的にどういった価値を提供できるのかを丁寧にご説明します。
そして、治療に責任を持ちます。自分が「これが最善」と信じられない治療は、絶対に行いません。
最後に:あなたが「選べる未来」のために
歯科治療は、受け身で受けるものではなく、自ら選び、向き合うものです。
もちろん、自費診療がすべてにおいて最良であるとは言いません。患者さん一人ひとりの状況、価値観、ライフステージによって最適な選択は異なります。
しかし、もしあなたが「見た目も、噛み心地も、長く大切にしたい」と考えているなら。
私は、遠慮なく、自費治療の可能性をお伝えします。
あなたの人生にとって、歯は思っている以上に価値のある存在です。
私たちと一緒に、10年後も後悔のない口元をつくっていきましょう。
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